猫が一点を見つめるときには、壁の向こうの
生き物が出す小さな音を聴いていることもあります。
この日、クルシャ君が床の一点を見つめていたのは
どうも音を聴いているのではないらしい。
彼がこうして同じ一点を見つめていることはかつて何度か
ありました。
とにかく見ている。
以前、この場所に小虫が歩いていたことがあるのです。
以来、よく見つめるようになりました。
守株、というやつですな。
猫はこうして自分の記憶が再現されることを期待して
同じ場所を守ることがあるらしい。やはり、待ち伏せ型の
狩猟をする性質から、派生するこうどうではなかろうかと
思ってますよ。
そして、当然ながら何も出ないわけで、守株に飽きますと
今度は押し入れの中を確認に参ります。
押入れ調査猫
自分で戸を開けて、中を覗いて、異常が無いか確認します。
これね、毎回飼主が閉じてるんですけど、開けたら一度で良いから
閉じてくれませんかね。無理? だよね。
これもクルシャ君の仕事なんだろうな。
なぜか充実したようなお顔をなさっています。
異常なし、ですか。
むしろ異常があったら、君を飼主が遠ざけますけどね。
ウルタールのうる: 巻二十二 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや
新刊『ウルタールのうる』第二十二巻
表紙 隠士 ホウサク「私は本作戦の砲艦部隊の指揮官である」
附 「ウルタール世界の地図」
「屍鬼制圧作戦図」
6月6日16時から5日間、無料配本
ダウンロードしてすぐお読みになれます。
次巻発売開始迄には、当ブログ内の該当連載記事が
順次消去されていきます。