『ウルタールのうる』第十七巻が出版されました。
矢島一向の生き様と、大切な相手の心を守ろうとした故に、暗殺者に仕立て
られたオデナツスの物語。
書籍版では、最終稿の手入れをする際に、状況描写と説明の追加がすべての
巻で行われていますので、ブログ記事の内容よりやや長くなっています。
さらに追加された原稿では、シーンの描写も含まれるようになりました。
より状況を自然に思い浮かべやすくなっております。
あらゆる主体というのは、それが仮にAIであっても、行動と思考を再帰的
に評価しながら世界を作っていくものですが、ウルタールでは主体の上位
にある規範というものを極めて希薄なものに設定してあります。
秩序、法、道徳、礼儀はあっても、主体にとって無条件な価値としないこと
で、弱く純粋な者たちが実現していこうとする様々な可能性を、無謀に見え
ながらも追求する姿を見ていこうとしております。
本ガイドが読者の皆様方にとって助力となれば幸いでございます。
表紙
妙会計 アイタイダ
スフィンクス。
妙会計と綽名される。会計とは、金銭勘定のことではない。『唐詩選』の
杜甫の用法。季節に合って花が咲くことなど、天の時に合わせて事が成る
ことを、当たり前と思わず、改めて正確にこの世が巡る不思議と感じて
会計と呼んだ。計が会するから、会計。
第四十四回鎮西軍に准将位で参加。同期のセキショウが指揮する「嘯虎」
運用部隊を活用し、黒猫隊を夜間疾駆させるなど、現場でウルタに献策
することにより、マウクシ険塞の陥落を成し遂げる。
大胆で豪毅、機知に富むが、それが歯に衣を着せない苛烈な鋭さとなって
他者に疎まれやすい。リンクス軍に対する降伏勧告の副使。
ローガール駐留中に共同軍の初演習に参加、狂乱状態のモシェによる襲撃
を受ける。ローガール事件では解放軍に属し、情報収集能力の高さから、
サクラの計画を見抜き、自らも参加する。
魑行砂漠では、海軍都市タンパライの攻略に参加。後に新兵器「盼虎」を
伴ってンガリハリ攻略に加わる。屍鬼の半地下防塞を無力化する効果的な
技術を発案、実践して共同軍の勝利に貢献した。
第十七巻のあらすじ
矢島一向は新兵器で護衛官らを制圧した後、自分を利用したブリハスへ
怒りを向け、東方軍へ去る。東方軍総監アカトフは矢島を引き入れ、
自らを切り捨てると予測されるブリハスへの対抗策を打つ。リンクス首都
ローガールでは、リンクス文化の根幹となる「魂団樹」についての説明
が行われ、女王の外交政策に影響したことが理解される。東方軍に仕立て
られた暗殺者オデナツスは、東方軍も鎮西軍も自らの権力で葬ろうと決意
したブリハス議員の前に現れる。
キャラクターピックアップ
オデナツス
暗殺者。古代パルミュラの女王ゼノビアの夫と同名。パルミュラのオデナツス
はローマとペルシアの間に立ちながらも、国を維持した。ウルタールのオデナツス
は、しかしその婚約者のために破滅する。
事象
魂団樹
リンクスの始祖、巫覡ローガールによって伝えられたとされる冥界と現界
を示す樹形図。リンクスの国章でもある。
ウルタールのうる: 巻十七 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや
新刊『ウルタールのうる』第十七巻
表紙 妙会計 アイタイダ 「貴官の名簿に加えて欲しい」
附 「ウルタール世界の地図」
5月3日17時頃より、5日間無料配本
ダウンロードしてすぐお読みになれます。
次巻発売開始迄には、当ブログ内の該当連載記事が
順次消去されていきます。