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Channel: クルシャの天地
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クルシャ君がマヌルっぽくなることから、マヌルの目の付き方について

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見事なアリアンの被毛。イエネコの祖先が短毛のリビアヤマネコだというのに
よくこれだけ立派な長毛種が定着したものです。家畜化というか種の人工的定着の
過程では、体色の多様化、知能の低下、体型と性質の分化といったことが起こります。
なぜか頭部が大きくなるということもあるそうですが、あのリビアヤマネコから
これだけの種類の猫の表現型が引きだれたのかと思うと、驚異ですよね。






ところで、以前はペルシャ種の猫の祖先は、イランのザグロス山中に棲息しているヤマネコ
の一種、マヌルネコである、と言われていたそうです。今のところ、その説は否定されている
みたいなんですが、人類が旧人(ネアンデルタール)と交雑していなかった、という強硬な
ドグマがたたき壊されたように、いずれ現在の猫種の一部にはやっぱりマヌルネコが入ってました
なんてことになるかも知れないので、細かいニュースには注意ですよ。







マヌルネコの顔つきは特別です。

その顔つきの特異さが分かる写真はこちらのブログ様の記事が分かり易いと思います。
糸目にならない猫なんですね。

耳が小さくて、まん丸でもこもこです。
そして、目がかなり上の方についている。

目の位置によく注意してください。






野生状態で、猫とこんなふうに出会うことはほとんどないはずです。
なぜならば、彼等は常に警戒していて、どこに他に生き物がいてどんな風に動いているか
何を目論んでいるか、察知した上で、最も自分に有利な位置取りをしているからです。

隠れ場所もないところで全身を相手から見下ろされる位置にさらす、なんてことはしないのです。


この状態で見下ろされると、上目遣いになってしまいます。自分が捕食者だった場合、例えば
鼠を捕るのに便利なのはこの逆、つまり見下ろせる場所から獲物を物色できる状態ですね。
かつ、どこかに身を隠して目だけ出しているのが最も理想的。








それで、たまに飼主も鼠の気分になって、クルシャ君に狩られているわけなんですが、
クルシャ君が獲物を狙っている様子が、マヌルネコのように見えて仕方ない。






獲物を狙う猫の表情




顔を伸ばして、出来るだけ目を上に固定しながら、低い位置にもかかわらず見下ろそう
としているのが分かりますね。この表情と目つきはマヌルネコと同じです。
岩場でナキネズミなんかを狙っていると、目が上の方に固定されて、頭を高くしつつ、
顎を引きながら、首をやや後方に伸ばす、この姿勢が猫にとって合理的になってくる
んですね。







さすがに、動物園に行ってマヌルネコの前で鼠のふりする実験はできないので想像するより
ないのが残念ですが、彼等(マヌルネコ)の独特な目の付き方については、こうした狩りの
スタイルと関係あるものと思われるわけなんです。









すくなくとも、猫にとっての鼠の立場は数百万年くらい変わってないわけで、飼主は鼠の
感じているかもしれない恐怖心とか、切迫感とか絶望とか、人間の主体的実存の根底の部分で
もって共感しないわけではないわけです。鼠も大変だな、と。









もしかすると、ですよ。猫と人類が暮らし始めて一万年も経ってないわけですから、鼠の
感覚だと飼主が思っている部分は、エジプト以前の野生猫たちに人類が獲物として狙われていた
頃のビビッドな感覚の再生かも知れんわけですよ。

現に化石人類の頭骨にヒョウの牙の痕がくっきり残っているものが発見されてます。








そしてもうひとつ、重要な猫との関係を指摘しておかなければなりません。
マヌルネコの目つきと、猫に狙われる感覚の根底的な情動、不安感や唐突な絶望といったものが
初期の人類の文明に影響していないか、しているとすれば、それは何かということですよね。
あ、ここから先はまた別の機会に。







今は先人たちがこの美しい生き物と命がけでもって仲良くしようと努力してくれた
おかげで、飼主はまっすぐ穏やかに見つめ合うことができます。命のやり取りは愛情の
やりとりに代わりました。そしてしばらく見つめ合っていると











キッス、ちゅー





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