カメラは猫を緊張させます。大方の猫は緊張あるいは警戒するものですが、猫を警戒させない写真家もお出でになります。撮り手の問題かも知れません。飼主も猫を自然に撮る技を会得したいし、もしあらゆる猫にストレスを与えるのがカメラならば、やはりストレスを与えない技を会得したいわけであります。
緊張している証拠。
命の危機を感じるほど、緊張を越えて恐怖に戦いている場合猫は涎が止まらなくなるそうです。クルシャ君が涎を垂らしているのは見たことありませんが、叱られて小さな声で鳴いているのは二度ほど見ました。
一度は、命に関わる悪戯をして、飼主が叱ったとき。一度は、遊びに来た猫に触れて、他猫から叱られたとき。
ヒトの悲しむときの泣き方とは違うのです。隠れて、みん、みん、と鳴きます。
クルシャ君の泣き方を見てからは、飼主も後悔いたしました。二度と彼を泣かすまいと、その時に誓いました。ウルタ君に。
しかし、カメラを向けて緊張させてしまうのは、仕方ないかな、と。
京都怪異迷歩 (うるたやBOOKS)
東寺 真生うるたや