前回に続きまして、風呂上がりクルシャ君の様子。
えー、濡れているところに御報告を入れて申し訳ないが、本晩暑気も去らない怠さの勝る刻を忘れるために、ちょっと涼みついでに妖怪でも見に行こうと、飼主がドアを開けると、君を探しに来ていた白黒の猫の女の子が佇んでいましたよ。
聞いてないね。
君が聞いてないときに、こういうこと言わないと、外に興味持ってしまうから言ってるんだが、彼女は週一くらいで我が家の前に佇んでいるようだ。
君の匂いがするのだね。
こうして風呂に入ると匂いも薄まってしまうかもしれないが元来、猫の体臭なんて無いに等しいから、トイレの臭いでも辿ってきてるんじゃないかと思われるよ。それも消臭しているから外には漏れてないと思うんだけどね。
それで、妖怪は見て来たんですか?
ああ、聞こえてたんだね。乾くまでよく覚えてましたね。
東洞院という通りに出るとか言う、火車とやらをまだ見たことが無いので、鵺の神社を拝してから見てこようと思ったのだが例の女の子と出会ったので、つい猫見に時間を奪われてしまったよ。
どこまでも怪しい話で巻きますね。
これが全て本当だから、如何とも為し難い。そしてこの辺り、妖怪の故地ばかりなんであるよ。
あ、猫のおんにゃのこの話も事実ですからね。
日没の背後にある山 (うるたやBOOKS)
東寺 真生うるたや