暑くなる以前に、クルシャ君は換毛の時期を経ることになります。
すると、毛玉を戻すようになります。
こうなると、毛繕いを手伝う母猫のように、洗ったり濡れタオルで身体を拭いて、余計な毛を落とすといったお世話をすることになるのですけれどもまあ、こうした気遣いに対する協力的姿勢というものがクルシャ君には微塵も無い。
以前、彼がお風呂を怖がらないようにと猫専用のバスタブを購入して用いると、なかなか良い感じだったような話をしましたが、彼にとってあのバスタブを家人が持ち回ることは即ち風呂に入れられるということであると、一度で理解したらしく、バスタブの用意をすると煙のように消える。
何の為に猫洗い用品まで用意したのか、よく解らない。
彼の居所が分かるように、鈴まで着けているのだが、こうして遁忍しているクルシャ君は、鈴なんか決して鳴らさないわけですよ。
しかもこの家には隠れ場所がいくらでもある。
放っておいたら、一時間ほどしてから、尻尾を立てて得意そうに出てきたクルシャ君でしたが、その際に妙なことに気付きました。
彼はまた新しい行動を開発したかもしれない、というわけでそのへんの話を次回。
ウルタールのうる: 巻十四 (うるたやBOOKS)
明鹿 人丸うるたや