壁際で音を聞いているクルシャ君。
この向こうは、外に面した壁で、配管が通っています。
クルシャ君がこの場所で過ごす時には、何か生き物の
気配を感じている時のようです。
外壁の内側に何かいるんだろうか?
いますよ。素早い、小さな足音がします。
聞こえないなー。
夜中に外をイタチが走っているのを見たことがあるが
イタチやネズミじゃあるまいな。
かなり昔、野生のテンを見たことありますが、やはり
イタチとは違うものでした。
見たこと無いのがイイズナというで、どんな生き物か
といいますと
Ozzy the adorable desk weasel.
なにこれかわいい
イイズナのオジー君。
オジーアンドザコックローチズの方のオジー、だと信じたい。
イタチよりテンの方が小柄なんですが、もうひとつ小さいのが
イイズナ。日本では管狐なんて言いまして、余程縁起悪い生き物
にされてしまっています。残念なことです。
こんなにかわいいのに。
どうも、民間呪術の憑物筋あたりの伝承に飯縄使いなんてものが
あったらしい。それも本当なんだかどうか分かりませんが、飯綱
の最も有名な絵は映画「犬神家の一族」で松子が拝んでいる軸に
描かれているアレです。
本体の写し図があって、右の方に実寸が書いてある。
その長さからして、どうもイイズナのようです。
不思議なものですが「犬神家」なのに本尊が「飯綱」、「管狐」なんですな。
そこは、分かる者だけ分かれば良い、ということらしい。
飯綱家としたら、洒落にならないんだから仕方ないか。
なんですかそれ。友達になれますか?
さあどうでしょう。
参考になるかどうか、オジー君の活性を見てから決めて下さい。
この動きは、どう見ても猫の敵っぽいぞ。
Ozzy the Weasel's War Dance. This is how weasels hunt.
オジー君が散々つつき回している、銀色のふわふわが
クルシャ君のように見えて不憫ですけど。
無理ですね(ついていけない)
まるで、君と飼主だろう。
活性と時間差のレベルの違いというものが。
ここに飼主が入ると、もうえらいことになる。
むむむ
もう少し情報を追加しよう。
こいつは主な活動領域と繁殖場所が野外なので、
壁の中で音がしても、それはイイズナじゃないと思うんだ。
この小柄で素敵な動きから、古代の伝承では妖精や生き霊の実体化
したものとされがちだったようだ。
マケドニアではイイズナを見ると幸運だとか、嫉妬した女性が
イイズナに化けて衣装を裂きに来るだとかいう迷信があったらしい。
コッカトライスもしくはバジリスクなんていう、蛇と鶏が混じった
ような化物について言及された書の中では、このイイズナのみが
唯一バジリスク退治が可能な生き物である、とされているらしい。
クルシャ君もイイズナのこと知って、目が点ですな。
野生で見る機会がほんとうに無いから、影を見るだけでも
幸運なんだろうね。見ても、気のせいだと思うかもね。
『甲子夜話』でも読んだなと思ってみたら、あったね。
文政五年(1822)一月の条に、
近頃、浅草御蔵前の道側に小獣を見せものにす。其形狐に似て少(ちいさ)く、
小狗の如し。鼻も尖りたるが、尾は大ならずして細く、後にさし揚て、かの詩の
綏(すゐ)々の貌はなし。予、因て是ぞくだ狐よと思て、人を遣り、就(つい)
てこれを図せしむ。然(しかる)後、月日を経て次第に大きくなる。其畜奴は孤児
を育立たるなりと云と聞く。弥々(いよいよ)くだ狐に非ること知るべし。
とある。飼主みたいに見たい見たいと思ってた人は昔から居て、
結構騙されてきましたってことだな。
想像できますね。たまに、本物のイイズナを懐かせて、竹筒に入れて持ち運び、
里で人に見せては珍しがられた山伏なんかがいたんでしょう。
小さいから近くで無いと見られない。噂は拡がって、見世物で「くだ狐」が出た
よってことで行くと、それらしいものがあるけれども、大抵はまやかしで、がっかり
するんだよ。六尺の大板血、みたいなもんだよ。
ウルタールのうる: 巻二十九 (うるたやBOOKS)東寺 真生うるたや