この日、クルシャ君は飼主の手の届く範囲に居ました。
いつもは、好きな場所に落ち着いて、気が向いたときに
やってくるのですが。
眠っているときにどうも悪い夢を見たようで、
飼い主の前で眠りながら痙攣を始めて、やがて
苦しそうに長鳴きしました。
いつものレムと様子が違うので、慌てて撫で起こし
クルシャ君の名前を呼びながら、様子を見ていると
ぼんやりと目を覚ましてまた安心したように丸く
なりました。
本当に、怖い夢を見たのだろうか。
それから、離れたくないのか、クルシャ君は
飼主の背中あたりを守るようにして、座椅子の
裏に回ってその夜を過ごしました。
目つきや雰囲気で、もう少し君の心が読めるように
なりたいと思うよ。
気分や、状態だけでなくて、君の感じたものを共有
したい。
それが悪夢であっても。
どんな悪夢か知ることもできるなら。
ウルタールのうる: 巻二十八 (うるたやBOOKS)東寺 真生うるたや