いやどうしようクルシャ君、うっかり時を過ごして
今年も終わろうとしているよ。
毎年同じようなことを、言ってますよね。
精確に同じ事を言っているわけではない、というのが
重要だよクルシャ君。君は同じような物を見いだそう
とするけれども、それではまだ凡庸なのだ。
バターンは繰り返す、ああまたかと思うのは、いつも
過ぎた後だ。終わる直前まで、今度は前と違う、なんて
思ってるもんなんだよ。
なんですか、また新しい言い訳ですかね?
違う、違うよ。実感ですよ。
よし、君に分かるように言い換えよう。
君の両耳の間にある、エプロンより上の首回りの毛のことを
マフっていうじゃないか。そのマフだが、毛繕いしてても
毛玉ができるだろう。毛玉が出来てしまうのは、同じ事の
繰り返しだ。
ここまで、いいね。
毛玉が出来てしまうことは面白いことじゃありません。
そうだろう。とんでもなく当たり前で、退屈でどうでもいい
ことだと思うだろう。しかし、きっちり、いつ頃どこにどれくらい
の大きさの毛玉ができるか、君は制御したり予測したりする
ことが可能だと思うだろうか?
できるだろう。ある程度可能だろう。
そして、マフにできる毛玉の連鎖をすべて予測し、制御できる
ならば、もっと面白くないか。
ああ、分かりました。
ここを間違うと、何事も退屈になる。
君がより選ばれた猫になるには、君自身が君を選ぶ必要が
あるんだよ。いいね。
はい。
それから、君のマフ乱れてます。
片付けが終わったら、コーミングしましょう。
新刊『ウルタールのうる』第二十七巻
表紙 大屍鬼近衛隊隊長 ク・ンテイデ
「地下軍は全くの役立たずだ」
附 「ウルタール世界の地図」
「屍鬼制圧作戦図」
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ウルタールのうる: 巻二十七 (うるたやBOOKS)
ウルタールのうる: 巻二十七 (うるたやBOOKS)明鹿 人丸うるたや