姿見のある部屋にクルシャ君がひとりで
時間を過ごしていることがあります。
鏡を見に来ているのではないかと思うのですが
話しかける飼主と目を合わそうとしない。
胸像認知云々というのは、この際繰り返すことは
しません。
ただ、ミラーテストに合格したとされない動物の
種の中には実験に用いられている種が入っている
ことは指摘すべきです。
政治的な都合によって、種にヒエラルキーのごときものが
設定されている現状こそ忌まわしい。
ところで
何度尋ねても下を向いて返事しないクルシャ君に、もう一度
尋ねます。
君、こっそり鏡見てますよね?
何のことか分かりませんが。
鏡見てたことがバレると、何かあるんですかね。
脅されてるんなら、正直に言いなさい。
飼主が滅ぼしてやる。
証拠がないでしょう。
いいえ。飼主は鏡をいつも丁寧に磨いてるんですよ。
埃もつかないくらいにしてる。
そこに、君の肉球の痕跡がいくつも付いてるんだが、
どういうことだろうな?
磨き忘れたのをクルのせいにしてるんでしょう。
わざわざ、君の肉球の痕だけ残して、飼主は掃除したのか?
掃除した後に、君の肉球の痕を飼主が鏡にコピーして回ってる
のかね?
まあ、このことはもう尋ねないから、こっち見てくれ。
いつか、動画で証拠を撮ってやろう。
覚えておれ。
ウルタールのうる総集編: 3 (うるたやBOOKS)明鹿 人丸うるたや