その日、いつものように階下のおもちゃ入れから
気に入ったおもちゃを運んできて、挨拶に来たクルシャ君
は、三階の廊下脇にあるクローゼットの引き戸を開けて
露店のようなことをやってました。
プレゼントですよ。早いもの勝ちですよ。
客は飼主だけなのに、店みたいにする演出の意図は
何ですかね。
品物に自信があるんですよ。お客さん、
品物を持っていくなら、店主に挨拶するものです。
じゃあ、くるしゃやさんの品物、頂きますね。
持っていくんですか?守っていたのに。
じゃあ、持っていきませんよ。
それでは、店を出している意味がありませんよ。
ははあ。分かった。君はプレゼントと言いながら、やはりお代が欲しいの
だね。店を出す意図はそこだ。鍋売りが、鍋はタダでいいから、具材と
燃料と調味料を持ってきて鍋作って食わせろ、とこういうわけだ。
目を逸らすね。図星ですね。
いつも無視されるからですよ。
それでは、お店の前でひとじゃれ、ふたじゃれ、してもらいましょうか。
へえ、おおきに
そこは京都弁なのか。
ウルタールのうる: 巻二十六 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや