祇園祭の茅巻買い換え候補ですが、今年は最寄りの木賊山
にしましたよ。
能の「木賊」が主題なわけですが、会所で展示されている
懸荘品を拝見すると、仙人尽くしの懸け物が三点ほどあって
気に入ったわけです。
琴高、黄初平、蝦蟇、鉄拐、西王母なんかで、よくある
モチーフかもしれませんが、こういうのは財産として保存
展示、利用するだけでなく、できれば同じモチーフを何度も
使って新しい作品をアーティストには制作していって欲しい。
『ウルタールのうる』に出てくる鎮西軍諸将も『神仙伝』から
名前だけ引っ張ってきてますからね。
仙人は魅力的ですが、自由と自適の極にある。
政治的にはアナーキストなわけです。
秩序正しい勤勉な暮らしをしていると、聖賢には親しめる
一方、仙人には違和感、ひいては不快感を感じるものです。
曾我蕭白の「群仙図」は、そのあたりを特に強調しているので
よく分かるでしょう。
間違って、幼い頃に手近な古典なんかを通して仙人に共感し、超俗の
志なんか密かに培ってしまうと、この世に属することができない、という
悲しみを死ぬまで背負い込むことになります。
もうね、会う人みんなに「何を考えているのか分からない」と言われ、
組織内での点呼で一人だけいつも外されたりすることになる。
夢に街や他人が出てくることがあれば、大体自分は浮いているか飛んでいる。
移動も空中になるわけで、よく電線に引っ掛かったり、鳥避けの棘が天に
向いている屋根を見て嘆息する。空を飛ぶ者なんかが休む場所は人の世に
はない。
特別な祭の日、仙人のことが人の世でも思い出されます。
仙人の掛け物なんか見て、過去に少なくとも彼らのことを思った人たちが
いたことを知る。
そして茅巻が手に入る。すぐ手に入る草を結んで作った手遊びの御守り
なわけですが、かつては作った人とつながるよすがでもあったろう。
茅巻を手にすると、ようやく夢でも飛ばなくなって、草原あたりに
着地できたりするけれども、それから一週間もするとまた夢で飛んでしまう。
ウルタールのうる総集編: 2 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや