『ウルタールのうる』第二十三巻が出版されました。
タンパライ開城と、屍鬼およびウルタールの隠された歴史の探究が
開始される。
このあたりから連作の無償公開に対するリスクを感じるようになって
きています。構造と構想をできるだけ単純で凡庸にしておくと、着想
だけで書く側も読者と一緒に楽しめるスキームができるわけで、
二十三巻目あたりまではギミックとストーリーテリングだけで保って
いっても提供側としては何か抜かれて困るものもなかったわけですが、
いよいよ全体構造に関する洞察と、用意されていてしかるべき個性と
いうか、オリジナルな着想に関しては、流石に抜かれては困る。
次第に転換点に近付いているこのあたりで、そろそろ筆を止めようと
考え出していた頃です。当時は著作権を保全できる電子出版も簡単に
できませんでした。
第二十三巻にも「屍鬼制圧作戦図」が付属しています。
本ガイドが読者の皆様方にとって助力となれば幸いでございます。
表紙
馳符 イイン
アビシニアン。
ホウサクと共に第四十四回鎮西軍に准将位で参加。マウクシ険塞
攻略の際には補給部隊を率いる。
ホウサク同様、青煙ロウタンを敬愛する。馳符と呼ばれるのは、
主に方術を研究して身に付けていることによる。コウセキ、ホクマー
らが三姉妹から這々の体で逃げて来た際、彼らの身体に留めてあった
符を手にして、三姉妹の尋常で無い才能をいち早く見抜く。
ナタン邸に単身乗り込んだロウタンの救出部隊を率いたこともある。
魑行砂漠作戦では、ロウタンの第三軍に属する。
同志であり、義兄弟でもあったホウサクを失って失意するが、後に
国洗光元の配下となっていたジョキと、方術戦を交わすことになる。
リンクスの三姉妹のうち三女を娶る。
第二十三巻のあらすじ
湾口を封鎖されたタンパライに反応が消える。夜陰に乗じて脱出を計った
ントンボはカツゲン黒猫隊に捕捉される。ウルタは屍鬼の歴史についての
調査に着手するよう指示し、タンパライに降伏の使者を出して無血開城を
勝ち取る。ホウサクの略式軍葬が行われ、イインはロウタンからホウサク
の評価を得た上、隠遁の要諦を授けられる。
飼主とふくはウルプライム北方のケルマン寺に到着し、膨大な異界の文書
を目にする。
キャラクターピックアップ
ンシトーマ
屍鬼軍タンパライ海上要塞司令。共同軍第五軍によるタンパライ封鎖
作戦が開始されることを予期し、無人自爆艦による封鎖突破攻撃を立案、
指揮してホウサク准将率いる砲艦隊を壊滅させる。
タンパライは屍鬼半島に自生する食糧管理基地でもあった。食料調達官の
ントンボをひどく嫌っていたンシトーマは、タンパライの運営に同要塞で
自らの軍務に容喙してくるントンボらを置き去りにする形でタンパライを
脱出。後にウルタール長島海軍要塞に連絡を取って、投降する。
事象
父祖の地
魑行砂漠ンガリハリ北方にある山岳地の南麓地帯。その密林地域の
谷間にある古いレッドパンダ生息域を、屍鬼は「父祖の地」と呼ぶ。
屍鬼は数世代前に、父祖の地から南方に移民し、新興国家屍鬼を
建国した。
ウルタールのうる: 巻二十三 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや
新刊『ウルタールのうる』第二十三巻
表紙 馳符 イイン「第三軍の移動先の指示を願います」
附 「ウルタール世界の地図」
「屍鬼制圧作戦図」
ダウンロードしてすぐお読みになれます。
次巻発売開始迄には、当ブログ内の該当連載記事が
順次消去されていきます。