10月最後の記事は、ハロウィンらしいお話。
飼主は長くクルシャ君の成長を一種の分節過程と捉えながら
その発達と選択の過程から、クルシャ君の個性と存在とを
喜びを以て観察して参りました。
もぐること、や、鼻を使うこと、前脚の器用さを自家薬籠中の
ものとしつつ、新しい行動が生成されていくことは猫にとって
どのような経験なのであろうか、といったことにも興味がございまして
すぐ近くに居るものだから、クルシャ君にとって何が新しい行動会得
の契機になるのか、あるいは何が行動会得を促進するのか、動機には
何が考えられるかといったことを細かく見て参ったのでございますよ。
そうすると、大方体系的な発展といったモデルを想定しますよね。
猫なので到達点は限定的かもしれないが、記録された行動には予兆的な
条件や前駆的な示唆が含まれていると、そのように想定しますよね。
その上で、期待される発展的な行動が予測可能だと、思いますよね。
それが違った。
何か漸進的な変化なんてものが一種の観察者による手前勝手な仮説に過ぎなかった
ということが、今回露呈しましたよ。
しかし、仮説というのは主観の投影ではなくて、手続きと解釈方法の妥協に
よる疑似客観性の保証なわけであるから、飼主の設定した網にクルシャ君は
このたび達成を確認された、ある特異能力についての
予兆的な行動を残しておいてくれました。
過去記事を参照いたしましょう。
ふたつございます。
ひとつ目は、ふみふみすると美形になる猫、2015年2月6日の記事でございます。
このクルシャ君の行動については、まさか発展因子が含まれているなどとは
予想もしなかった、と正直に告白いたします。
いや、ありえないから。
もうひとつは、パラノーマル・クルシャ・トータルエクリプス、2016年1月9日の記事でございます。
上記ふたつの記事は、よく猫がやっている、かわいらしい踏み踏み行動すなわち
母親の授乳に際して子猫が本能的に行う前脚運動が、成猫になっても別の形で
発現している、いかにも猫っぽい他愛ない行動の例であって、クルシャ君もやって
ますよ的なご報告に過ぎないと、飼主は思っていたわけでありますが、実はこの
行動がクルシャ君の中で育って、特異能力へと変容した可能性があると、2017年10月末
に於いて飼主は疑ったり悩んだり天を仰いだり嘆息したりしておるのですよ。
この度、また夜中にクルシャ君が毛布でふみふみ行動をしていたので、動画にしたところ
前回と同じ現象が発生しました。
夜中のふみふみ猫
この動画の10秒丁度のあたりで、得体の知れぬものが画面左下から右上へと
飛んでいきます。
あのー、黙ってましたけど、これオーブですよね。
たまゆら、いうやつですよね。
ふみふみし終わった瞬間のクルシャ君の顔つきが超現実的だったのも、前回
ふみふみしてへんなのが映ったのも、偶然でもなんでもなくて、これこそが
クルシャ君の能力の発現だとしたら、どうです?
よりによって、この方向に能力を伸ばしたのか。
それは飼主のせいか?飼主のせいなのか?
うわー許してくれ許してくれ、ってなりますよね。
既にこの現象は何度か確認されております、そしてどこか以前の記事で示唆したのも
クルシャ君のこの霊媒能力についてのことなのです。
いやー、うちの猫霊媒なんですわとか。
パラノーマルとかじゃなくなってます。もっと先の話になって参りました。
現実をまず受け入れるよりない。解釈はその後だ。
この類いのことを述語でネクロマンシー(死霊占い)と申します。
古くは聖書にも出てくるし、ローマのアプレイウス、『シュンティパスの書』にも
出てくる。
白居易の『李夫人』なんていうのは、まさに古代のネクロマンシーを題材に
した詩なんだけれども、北方佳人李夫人を失った漢の武帝が政務も手につかないほど
嘆いたので、方士が反魂香を整えて李夫人の霊魂を呼ぶと「翠蛾髣髴 平生貌」なんて
いう瑞々しい姿で武帝の前に出てきた、というお話。
武帝の詩の「佳人を想いて忘るる能わず」っていうのは李夫人のことなんだな。
時代は降って、懐古趣味のエリザベス朝下でもって、ジョン・ディーが
弟子と一緒にネクロマンシーの真似事をやって、失敗している。
エリファス・レヴィがティアナのアポロニウスを呼び出そうとしたとかいう
話に至っては、一種の憐憫を催すような失敗談として伝わっている。
だが、どの説話でも、猫がやったという話はない。
それくらいの秘術であってかつ、危険な行為なんですね。
死霊を呼び出すだけでは無くて、利用するもしくは使役するという技術があったと
言われております。
で、英語だと死霊占いの専門家をネクロマンサーなんていうから、
とりあえず、クルシャ君の最新の称号は
世界初のネクロマンニャーということにしておきます。
こんなの、うれしくないから。
全然嬉しくない。
にほんブログ村
水のソーテール1: 洗礼の天人 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや