以前から話題にしておりました通り、クルシャ君は猫ヘルペスに
罹ってしまって、根気のいる数週間に及ぶ治療を続けていました。
子猫のときからヘルペスと戦っていたクルシャ君、これで三回目の
発症になります。
年末になってきて、そのヘルペスの最後の砦と化していたクルシャ君の上顎部分
に張り付いた、妙な形成物が昨日、消滅したのを確認しました。
めでたい。また発症するかもしれないけど、今回は治まったね。
めでたいので、ケーキをバックに表示してみました。
ウルタ君とのこともよく思い出しながら、クルシャ君の今回の治療過程で
もって、飼主も有益な観察を蓄積することができましたよ。
猫看病における現象学である。
人間同士の介護にも応用できると思うんですけどね。
治療の過程で患者が強い拒否感を示して、治療が成功しても不安感だけ
残ったり不信が残ったり、拒否感のおかげで治療そのものが失敗すること
もありますよね。入院した経験があると分かると思いますが。
人ならまだ検査の目的とか投薬について説明して理解してもらえますが、
猫はそうはいかない。簡単な事で治療が不信につながるストレスを惹起
するわけですよ。飼主は病気治す事しか考えてませんからね。
猫は言葉にしなくても、気分、抑圧、強制に敏感です。
治療に伴いがちなこうした否定的な関係要素について、薬より敏感に反応
して、傷ついてしまうと、病気が治っても気分的にダークな猫になったり
ブラックな猫になったり、とにかく穏やかさがなくなって反抗的になるか
もしれません。今回、そんな危機を感じた訳です。
では、どうすればいいか。
治療の全過程を通じて、人の拒否感や強制を猫に感じさせなければいいわけ
なんですね。何なら、一晩中でも説得し続ける。仮に治療が目的であっても
何よりも大切な飼主に否定されたと感じてしまった猫は、世界が終わるよう
に感じるでしょう。打ち砕かれた心を抱いたら、猫の回復は困難です。
責任を逃れるために、傷つけた者に「そんなつもりじゃなかった」と逃げるか
「そんな程度の事で傷つくなんて弱い奴だ」と見下す卑怯者はこの世にいくら
でもいますが、飼主は今まで何度も見てきた卑怯者たちと同じ事を決してしない
のです。こうして小手先で逃げたり、被害者を逆に責め立てる連中は許さない
のです。もちろん自分自身にも。
猫の体調が悪くなったから拒否されたのだと猫が感じたなら、猫ほどの心は
世界と飼主を拒絶してダークになるか、あるいは自分が悪いから嫌われたの
だと、自分をいじめ続けることになります。ウルタ君の場合後者だったのでは
ないだろうかと後悔しているところです。二歳を過ぎてスタッドテイルになった
のを、飼主が指摘した頃から、ウルタ君は自分で自分の尻尾の付け根の毛を
むしり始めました。
何度懇願しても、ウルタ君は自分の毛をむしるのを止めなかった。
手舐め猫
知恵が無いために、身を引き換えて考えられないということもあります。
そんなタイプは、なぜ自分に責任があるのかを説明されても、きょとんとしています。
センスがないんじゃしょうがない、じゃ済まされない。
しっかり他者間の関係には何が起きるのかを学び直すか、あるいは責任が発生
しそうな領域からこんなのは追放しなければいけませんね。資格無い者は去れ。
猫だって側にいられない。
こんなことを自分に言い聞かせている飼主なわけですが、クルシャ君もへんな
できものが取れて良かったよね。
いずれまたへんなもの身体に生やすかもしれないけど、そうなってもクルシャ君
が悩む事なんて何も無いからね。
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