認知力とは謂わばセンシングを下部構造とする適応力みたいなことだが、その中の判別、識別、弁別力を鍛えておりますよ。時間があるときだけですが。
せめて低下しないように、鍛えておくと良いですよ。
君のおしりのように、ですね?
Eydie Gorme The Gift (Recado Bossa Nova)
本日の名曲
糸が切れたネックレスの真珠は手袋に容れる。では、緡(さし)が切れた千年前の銭は、どのように保管するのか?
せ、千年も昔の文物なんて、手に入りませんよ。
11世紀の品物ですからね。しかし手に入るのです。しかも捨て値同然なのですよ。
出でよ、北宋銭。
しかも数が多く、極めて種類が多い。これなんか元豊通宝ですが、そのうちの「真書」と呼ばれる書体です。
こちらは「篆書」。しかしながら、全ての「元豊通宝」に個性がある。マスプロの時代ではありませんでしたし、国家が保証する銭ではありましたが、私鋳銭や、以前触れたような鐚というのもある。
それだけではない。
同じ「元豊通宝」でも、特別な「泉譜」や「大全」といった特別な研究書をあたって見ないと、同定できないほど、偽物ではないこれらの銅銭の中に種類があります。
作られ方によって、個性が出る場合もある。
こちらは「背」といって銭の裏側ですが、ズレていますね。こういうのはエラーの一種で「錯笵(さくはん)」と呼ぶのです。鋳造の過程で問題が生じると、こうなる。
同じ1000年前の文物を見ていても全て違う。エラーの錯笵くらいなら、真書、篆書くらいならまだ分かるのですが。
クルシャ君、これは「元豊通宝 篆書 𤄃縁 縮豊」というのです。
そこで冒頭の識別力の話に繋がるのですね。
この千年前の一枚を同定するのに、30分くらいかかる。銭面の書体や、文字の位置などが微妙に違うものがあってそれらを先人らが既に分類されているのだが、この手にある現物が、そのうちのどれなのか、慣れていても慣れていなくても識別力に対する挑戦ではある。
そして
それら公的な銭を嗤うような、天下手 祥符通宝 などという鐚銭が紛れ込んでいたりもするのだ。
無駄なことに精力を費やす、いつものやつ。
ウルタールのうる: 巻十七 (うるたやBOOKS)
明鹿 人丸うるたや