クルシャ君、夜に外へ出ると蟋蟀が鳴いてる音がします。声がする、と表現すべきか。鳴いてると言うんだから声かと思うが、声帯や舌があるわけではないので音でもいいということだ。
なんでこんなことを話題にするかと言いますと、古代後期から中世まで蟋蟀(こおろぎ)は蟋蟀(きりぎりす)と呼んでいたなんていうのを古典の授業でやっていたのを想い出したと同時に舌のあるなしでもって、プロクネーとピロメラを古代のギリシア文学で分けるんだが、この鳥の名前が現代だと逆になってることも想い出したからなんですね。
なにかというと、アイスキュロスの戯曲にプロクネーとピロメラーが出てくるんだが、舌切られた方がピロメラーなのに、後世鳴き声が綺麗なことで有名なナイチンゲールに比定されるようになり、鳴かないツバメがプロクネーになるとかいうわけの分からんことを覚えないといけなくて、面倒くさかったことがあったからです。
ちなみに、『枕草子』や『方丈記』なんかで蓑虫はちちよちちよと鳴くなんて書いてあるが、まあ鳴かないわけだし、一体何を空耳して聞き間違えたのか、そもそもそういうことになってしまったのか興味あります。
世界中で虫が減ってるらしくて、昔聞いたようなカンタンやらマツムシの音を長いこと聞いてないような。
ウルタールのうる: 巻三十二 (うるたやBOOKS)
明鹿 人丸うるたや