以前の住所近くに用事があるとき、いつも歩いて参ります。割と交通の要所なので、便利が良いのであります。歩いても10分も掛からない距離。
その途中、何度も通った角に、目を留めていなかった看板を発見。
見えてませんね、いつものように。
見ていないものです。そもそも、ここで車とすれ違うこともないんですけどね。
昔はよく通ってたのかもしれませんね。
そして、この角に出るちょっと前、猫に声を掛けられましてね。
聞き捨てなりませんね。
小さな声で、猫が呼びかけるんですよ。呼びかけるときの猫の声はよく知ってます。「ちょっと、そこのひと」くらいの感じ。
それから?
立ち止まったのですが、猫は見えない。
空耳かと思って立ち去ろうとすると、もう一度声がしたのでそちらを見ると、町家の窓の内側から声がしている。
昼間なので外から中が見えない。でもその窓から、呼んでるし、見ている気配もする。
飼主もモテるじゃありませんか。
断じて良いと想うが、君ほどじゃないね。
クルシャ君は、窓から外を見ている事もあるけど、知らない人に声を掛けたことなんか一度も無いんですよね。
怖がりなのも弱いのも、悪くないと思います。
でも、連子窓の内側の猫はどんな子だったのか、想像してしまいますね。あの声は女の子だから、三毛かな。
箱閉じてみたいから、頭で邪魔しないように。
ウルタールのうる: 巻二十九 (うるたやBOOKS)
明鹿 人丸うるたや