『ウルタールのうる』第三十二巻が出版されました。
ようやく、第四十四回鎮西軍の使命であった、西方の安定が達成されます。しかし鎮西軍の働きによって、隠れていたウルタール世界の諸要素が露わになり、各自時を得て動き出すことになります。
受け止められない者たち、先を読もうとする者たちに、何も分からず巻き込まれていく者らが、この瞬間から次の時代を生きていくことになります。
本ガイドが読者の皆様方にとって助力となれば幸いでございます。
表紙
大屍鬼三頭枢密洞 クシュ・ンボールル
王も主もいなかった父祖の地のレッドパンダたちは、慣習として奥地で出会うことのあるジャイアントパンダを敬っていた。彼らの数が漸減していた頃、父祖の地の村民らは、南方から現れた指導者に従って屍鬼を建国する。指導者ンタリは、大屍鬼として生存していた三頭のジャイアントパンダを、自らがやってきた故郷へ戻すことで、彼らを救うことが出来ると主張した。
三頭指導体制を布いた屍鬼は、大屍鬼の姿見ることによって国民士気を維持する。三頭とは、クシュ・ンダラバシュタラ、クシュ・ンリタリ、そしてクシュ・ンボールルであり、洞主と呼ばれる最高指導者がクシュ・ンダラバシュタラであった。
枢密洞とは、屍鬼の都ンガリハリの地下にある洞穴だが、大屍鬼らの保護施設でもある。そして、枢密洞の最奥部には薔薇井と呼ばれる特異点が存在する。
クシュ・ンボールルは三頭の一員として、屍鬼国民らの教育・広宣を担当した。常にその姿を何らかの形で国民に示しながら屍鬼の義を繰り返し刷り込んでいく役目となる。そして有能な者も、まだ若い屍鬼らも、彼の偉容と無邪気さに惑溺し、いずれ何も新たなことをしようとしなくなるのだった。
第三十二巻のあらすじ
休戦条件の設定と駆け引きの形式を定めた共同軍と屍鬼の双方は、規定に則ったやりとりを展開する。高教府では高皇観漠に乗じた諸勢力が活動を静かに開始し始める。休戦協定成立後にンガリハリ入城を果たした共同軍は、大屍鬼らと会談し講和へと進むが、双方には互いに別の思惑があった。
キャラクターピックアップ
テイラ
無学の徒。修練士。深く澄んだ水のような碧眼の三毛。無学の徒として大師タソスの側近となり、東方軍幹部との接触を担う。
事象
薔薇井
即ち、ros(e)well蛮都ンガリハリの地下に存在する特異点。屍鬼建国の元勲ンタリがリープアウトした場所。現象の再現は屍鬼において為されることが無く、長い戦争の後ウルタと飼主らを連れ帰った、高教府教育省他世界調整局の一級宙塔猫、ウルスによって調査されることとなった。
新刊『ウルタールのうる』第三十二巻
表紙 大屍鬼三頭枢密洞 クシュ・ンボールル
「洞主様が、もう話しかけてくれないんだ…」
附 「ウルタール世界の地図」
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ウルタールのうる: 巻三十二 (うるたやBOOKS)
東寺 真生うるたや