『ウルタールのうる』第二十二巻が出版されました。
鎮西軍将官最初の犠牲。
「大隠朝市」(『文選』)とか。志の低い隠士は田舎の草堂などで
超然としたふりをして過ごす。かつて禅僧が独り住まいしている草庵
に取材したテレビ番組を見たことがあります。「何か困ることはあり
ますか?」という問いに対して、当の御坊は「たまにあんたがたみたい
な興味本位の人たちが来て、静かな暮らしを乱されるのが一番迷惑
なんですわ」と言っていたのをみて、これぞ小隠の典型だなと思った
ものであります。
隠士は古代から畸人の類いの智慧者として物語に出てくるキャラクター
です。あらゆるモノと個人と情報がつながっていく現代ではほぼ不可能
となってしまった生き方でもあります。
自由とは厄介なもので、権力と社会性から断絶して感じられる自由も
あれば、権力を指向することで達成される自由もあるわけです。あくま
で個を主体とした場合。大隠は社会の中に在りながら権力を求めず、
他者を踏みつけない強い自律心と、小隠の嫌悪する俗への嫌悪との戦い
に勝った自信を保ちつつ、志を追求できる人格ということになります。
第二十二巻にも「屍鬼制圧作戦図」が付属しています。
本ガイドが読者の皆様方にとって助力となれば幸いでございます。
表紙
隠士 ホウサク
エジプシャンマウ。第四十四回鎮西軍に准将位で参加。
士官時代にレツギョと共にウルタール東方の太湖で水上部隊を指揮する。
優れた成果を挙げるが、功を譲って才を隠す。そのため、何を考えて
いるか分からないとして一部に敵視され、一部には感嘆される。
青煙ロウタンを敬愛し、学ぶが、同様の志を持つイインとはアプローチ
の点で異なる。
マウクシ険塞攻略の際には、後方の輜重隊を率いて補給の責任者となった。
魑行砂漠制圧戦において、共同軍第五軍のレツギョ艦隊に属し、タンパライ
封鎖作戦の最前列で見事な艦隊指揮を見せる。
その際タンパライから発出した無人自爆艦から僚艦を守る為に盾として
自艦を用いたことにより自艦と共に滅する。
リンクスの三姉妹のうち次女を娶る。
第二十二巻のあらすじ
ウルタ率いる共同軍第二軍は、屍鬼の海上要塞タンパライを攻略。
レツギョ率いる第五軍と共に、洋上封鎖作戦を行うが、タンパライ司令
ンシトーマの窮鼠の反抗によって所期の作戦は失敗。砲艦隊指揮官の
ホウサクを失う。
単鑑で沖合に脱出したンシトーマは、抗戦継続を放棄。ウルタは作戦
を継続してタンパライの封鎖を続ける。
キャラクターピックアップ
レツギョ
シャムブルーポイント。
第四十四回鎮西軍に少将位で参加。「斑猫作戦」では小型潜水艇「蛟虎」
を指揮して鎮西軍の勝利に貢献。その功で中将に昇位する。
魑行砂漠制圧戦においては、第五軍の指揮官となり、タンパライ攻略
で功を挙げる。さらに屍鬼半島制圧を任されたが、現地住民等の奇妙な
行動に悩まされた。
事象
海軍都市タンパライ
紀元前332年、東地中海のシドンの南にあった海上要塞ティルスを
マケドニア軍が攻略、エジプト遠征の足掛かりとした。
マケドニア軍には海軍が充実していなかったので、ティルスまで
堤防を工作して築造、攻城塔を押し出して攻撃したものの、成果は
乏しいものだった。
タンパライ同様、洋上の海軍都市ティルスは封鎖によって抵抗力を
失う。ペルシアから離反したフェニキア艦隊がティルス封鎖をした
ことで、死命が決することになる。
ウルタールのうる: 巻二十二 (うるたやBOOKS)クリエーター情報なしうるたや
新刊『ウルタールのうる』第二十二巻
表紙 隠士 ホウサク「私は本作戦の砲艦部隊の指揮官である」
附 「ウルタール世界の地図」
「屍鬼制圧作戦図」
6月6日16時から5日間、無料配本
ダウンロードしてすぐお読みになれます。
次巻発売開始迄には、当ブログ内の該当連載記事が
順次消去されていきます。