他の出版作業を続けていたうるたやですが、そろそろ元来の目的であつた『ウルタールのうる』の完成の目途をつけていきたい、と思っております。
東地中海やエジプトやローマの古代文書の中に「呪(まじな)い文書」が見られますが、大半は治癒を求める文書と愛を求める文書です。全体の8割方がそんなものです。真に呪詛を積極的に行う文化なんてものは、飼主が知る限り、わが日本国くらいなものです。
欲を求めて行われる呪いの文書には、無効化の手段が附記されています。そんなのは愛では無い。
生涯の苦しみを負うことを覚悟して、更に苦しみを昇華するよりないというのが「この世の」愛の普遍的な形でありますよ。故に、飼主はウルタ君を失ったことを生涯負い続ける。
己の存在を賭けることもできない愛など、娯楽に過ぎないのです。
ウルタールのうる: 7巻 (うるたやBOOKS)
明鹿 人丸うるたや